シンポジウム2022
シンポジウム2022

シンポジウム2022

日本における第二次世界大戦の長期的影響に関する学際シンポジウム2022

―戦争について語ること、セーフスペースを考える-

実施要綱

 

趣旨

第二次世界大戦は30カ国以上が関与し7,000万人以上が亡くなった世界史上最悪の戦争でした。これまでの研究は、第二次世界大戦が、社会全体に長期的な影響を及ぼしたことを明らかにしてきました。日本でも研究は行われてきましたが、その成果は、個別の学術領域を超えて共有されてきませんでした。特に、歴史的な検証作業と臨床におけるトラウマ理解の協働は不十分でした。戦争の経験を伝える活動も関心のある市民の力によって各地で行われてきましたが、研究との連携を、いっそう発展させる必要があります。

このため私たちは、2021年に、日本における第二次世界大戦の長期的影響についての5回の学際シンポジウムを開催しました。そこでは、何が起こったのか、日本は戦争にどのように反応したのか、トラウマとポジショナリティ(加害者と被害者としての役割)などについて学際的な観点から報告し、話し合いました。これによって、戦争についての体験を語るセーフスペースの確保と、戦争の公的記憶の吟味が重要であることが明らかになりました。これらの課題を検討するため、本年は3回のシンポジウムを開催することとしました。このシンポジウムは特定の政治的立場に基づくものではありません。私たち自身のウェルビーイングと社会の平和に貢献することを目指すものです。

 

開催日時

2022年9月17日(土)、10月22日(土)、11月27日(日)

日本時間13:30~18:00

 

参加対象

このシンポジウムの趣旨を理解して事前に参加申し込みをした方(定員100人)。

使用言語は日本語(日英同時通訳あり)。

参加費 無料

形式

ZOOMによるオンライン開催

 

参加申し込み

こちらのフォームから登録してください。

 

プログラム
第1回
テーマ:「戦争についての体験を語るセーフスペースを検証する」

「満洲」に渡った女性たち、戦争孤児、障害者の戦争体験などから、当事者が声を上げにくかった(=彼らにとって戦後の日本社会がセーフスペースたりえなかった)問題について考える。

日時:9月17日(土) 13:30~18:00
  • 開会の挨拶 竹島正、森茂起、オイゲン・コウ
  • シンポジウム

・「『満州女塾』での出会い、そして、あるひきこもりの青年の語りから」杉山 春(ルポライター)

・「ラバウル従軍看護婦の戦争体験と語りから」田村恵子(オーストラリア国立大学アジア太平洋学部、文化人類学)

・「やんばるの少年兵「護郷隊」」川満 彰(沖縄戦研究)

・「障害者と戦争」竹内哲哉(NHK解説委員)

・指定討論者:四條知恵(広島市立大学広島平和研究所、歴史学)

・座長:中村江里(広島大学大学院人間社会科学研究科、歴史学)

 

第2回
テーマ:「戦争・災害の公的記憶とセーフスペース」

戦後日本における戦争・災害の公的記憶、それを語ることができるセーフスペース、慰霊・追悼、記念施設、体験の継承について考える。

日時:10月22日(土) 13:30~18:00
  • シンポジウム

・「戦友会に参加する/しない人々」清水 亮(日本学術振興会、社会学)

・「「セーフスペース」論と平和博物館はいかに出会うことができるか-議論のためのいくつかの手がかり-」福島在行(平和のための博物館市民ネットワーク運営委員)
・「東日本大震災の経験から」福地 成(東北医科薬科大学精神科学教室・病院/みやぎこころのケアセンター)

・「哀しむことができない:喪の不能性について」荻本 快(相模女子大学学芸学部/Contemporary Freudian Society, New York)、臨床心理学)

・指定討論者:朴 炳道(慶尚国立大学日本語教育学科、宗教学・災害人文学)

・座長:粟津賢太(上智大学グリーフケア研究所、社会学)

 

第3回
テーマ:「戦争について語ること、セーフスペースを考える―今後に向けて―」
日時:11月27日(日) 13:30~18:00
  • 第1回のまとめ 中村江里
  • 第2回のまとめ 粟津賢太
  • 「セーフスペースについてのアンケート報告」川野健治(立命館大学総合心理学部、心理学)
  • シンポジウム「歴史教育・平和教育とセーフスペース」

・「戦争・平和教育におけるトラウマの二次受傷―実践から考える」笠井 綾(宮崎国際大学国際教養学部、心理学)

・「戦争・平和教育と政治」平井美津子(大阪府吹田市中学校教員)

  • 講演 オイゲン・コウ

座長 森茂起(甲南大学)

(2)閉会の挨拶 竹島正、オイゲン・コウ

 

主催

日本における第二次世界大戦の長期的影響に関する学際シンポジウム実行委員会

代表 森 茂起

一般社団法人全国精神保健福祉連絡協議会

会長 竹島 正

 

協力団体(依頼予定含む)

甲南大学人間科学研究所

上智大学グリーフケア研究所

大正大学地域構想研究所

立命館大学地域情報研究所

など

 

このシンポジウムは 、日本学術振興会科学研究費若手研究「復員軍人の『心の中の戦争』」(代表者;中村江里、JSPS科研費21K12909)、一般財団法人中辻創智社「会議開催費」、2022年度広島大学ネットワーク形成支援助成の助成を受けて開催します。

 

チラシのダウンロード