日本における戦争の長期的影響に関する学際研究会
歴史

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日本の第二次世界大戦の長期的影響に関する学際的研究会

英文名称:The Japanese Society for Interdisciplinary Study on the Long-term Effects of Wars(J-SISLEW)

本研究会は、日本における第二次世界大戦のトラウマ体験とその長期的、かつ世代間における影響を、精神医学・心理学・歴史学・社会学などの学際的視点から考察するために組織された研究グループです。

その起源は2019年、精神科医であり精神分析的精神療法の専門家でもあるオーストラリアのオイゲン・コウ博士(セントビンセント病院、メルボルン大学)と、日本において精神保健・自殺予防の実践に長年携わってきた竹島正氏(全国精神保健福祉連絡協議会)によって開催された、アートとメンタルヘルスに関するワークショップにさかのぼります。彼らは10年以上にわたり協働し、戦争トラウマとその影響について議論を重ねてきました。

その後、歴史学・社会学・心理学などの分野の研究者が加わり、2021年には中村江里(広島大学、当時)、粟津賢太(上智大学グリーフケア研究所)、森茂起(甲南大学)、川野健治(立命館大学)らによって、第1シリーズとなる全5回の学際的シンポジウムが組織されました。加えて、メルボルン大学に所属し、日本語にも堪能なキャリー・チェン博士(精神医学)も重要なメンバーとして加わっています。

以降も本研究会は拡大を続け、村本邦子(立命館大学)、松永健聖(大阪大学)、ファン・デル・ドゥース瑠璃(広島大学)、大岡由佳(武庫川女子大学)らが加わり、多様な視点から戦争トラウマをめぐる探究が深化しています。2025年4月より、これまでのシンポジウム実行委員会という組織から「研究会」へと名称を変更し、設置要綱を定めるとともに、幹事会を新たに設立しました。幹事会は当面、委員会メンバーが務めることとし、幹事会規定を設けました。

これまでに開催されたシンポジウムやワークショップは、戦争体験の記憶、公的記憶、文化的トラウマ、戦争と性暴力、平和ミュージアムの挑戦など、多岐にわたるテーマを扱ってきました。また、戦争トラウマの世代間伝達に関する国際的な視座からの報告も行われており、日本語・英語の両言語で成果が公表されています。

本研究会の目的は、過去のトラウマの理解を通じて、日本社会における癒しと理解と共生を促進し、ひいてはアジア太平洋地域における平和の深化に貢献することにあります。そのために、政治的立場に偏らず、敬意ある対話と安全な議論の場を維持することを重視しています。

今後も継続的な研究と発信を通じて、戦争の長期的、かつ世代間における影響に関する理解を深め、対話の広がりに貢献していきます。