日本における第二次世界大戦の長期的影響に関する学際シンポジウム2021
トラウマは、個人、家族だけでなく、社会・文化にも影響を与え、世代を超えて伝わっていきます。第二次世界大戦は30カ国が関与し7,000万人以上が亡くなった世界史上最悪の戦争でした。これまでの研究は、世界中において、第二次世界大戦が社会全体に長期的な影響を及ぼしていることを明らかにしてきました。しかし日本における第二次世界大戦のトラウマと長期的な影響についての研究は十分に共有されてきませんでした。
このため、私たちは、日本における第二次世界大戦のトラウマとその長期的な影響について学際的に話し合う5回のシンポジウムを計画し、開催してきました
プログラム
第一回 日本における第二次世界大戦の経験 (2021年6月19日)
司会:中村江里
- 開会の辞 13:30~13:50
オイゲン・コウ(精神科医/メルボルン大学シニア・フェロー)
竹島正(一般社団法人全国精神保健福祉連絡協議会会長・大正大学地域構想研究所客員教授/精神保健学)
森茂起(日本における第二次世界大戦の長期的影響に関する学際シンポジウム実行委員会代表・甲南大学文学部教授/臨床心理学)
- 実践報告 13:50~14:20
東野真(NHK 制作局 第2制作ユニット(社会・文化) 統括プロデューサー)「第二次世界大戦と日本に関するドキュメンタリー制作に関わって」
(休憩 14:20~14:30)
- 研究報告
(1)14:30~15:00
伊香俊哉(都留文科大学文学部教授/歴史学)「戦争はどのように拡大し、何が起きたのか」
(2)15:00~15:30
佐々木啓(茨城大学人文社会科学部准教授/歴史学)「アジア・太平洋戦争下における日本帝国の労働力動員」
(休憩 15:30~15:40)
(3)15:40~16:10
本庄豊(立命館大学・京都橘大学非常勤講師/歴史学・歴史教育)「戦争孤児たちが一番苦しんだのは「親戚」」
- 指定発言 16:10~16:30
宮地尚子(一橋大学大学院社会学研究科教授/文化精神医学・医療人類学)
(休憩 16:30~16:40)
- ディスカッション 16:40~17:40
- 討論総括及び次回のお知らせ 17:40~17:50
第二回 日本の戦争への対応 (2021年7月31日)
司会:森茂起
- 開会の挨拶及び進行の説明 14:00~14:10
- 実践報告 14:10~14:40
佐々木央(共同通信編集委員)「メディアの戦争責任に関する断章~国策通信社の末裔として読む絵本『かわいそう
なぞう』」
- 研究報告
(1)14:40~15:10
一ノ瀬俊也(埼玉大学教養学部教授/歴史学)「傷ついた市民や兵士に対する医療・援護」
(休憩 15:10~15:20)
(2) 15:20~15:50
浜井和史(帝京大学共通教育センター准教授/外交史)「戦死者はどのように扱われたのか」
(3)15:50~16:20
粟津賢太(上智大学グリーフケアセンター客員研究員/宗教社会学・宗教人類学) 「追悼の形式―黙祷儀礼の成立と変容」
(休憩 16:20~16:30)
- 指定発言 16:30~16:50
荻本快(相模女子大学学芸学部准教授/臨床心理学)
- ディスカッション 16:50~17:50
- 討論総括及び次回のお知らせ 17:50~18:00
第三回 トラウマとポジショナリティ:戦争の被害者・加害者としての日本(2021年8月28日)
司会:粟津賢太
- 開会の挨拶及び進行の説明 14:00~14:10
- 実践報告 14:10~14:40
岡檀(統計数理研究所特任准教授、一橋大学経済研究所客員教授/医療社会学) 「戦争被害者の聞き取り調査を通じて得た気づき」
- 研究報告
(1)14:40~15:10
蟻塚亮二(メンタルクリニックなごみ院長)「「いけにえの島」における住民と兵士との相克、そして晩発性 PTSD」
(休憩 15:10~15:20)
(2)15:20~15:50
中村江里(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授/歴史学)「日本軍兵士と「加害者のトラウマ」再考」
(3)15:50~16:20
根本雅也(松山大学人文学部准教授/社会学)「なぜこんな目に遭わなくてはならなかったのか――原爆被害者の苦しみとその意味の追求――」
(休憩 16:20~16:30)
- 指定発言 16:30~16:50
川野健治(立命館大学総合心理学部教授/社会心理学・臨床心理学・自殺予防学)
- ディスカッション 16:50~17:50
- 討論総括及び次回のお知らせ 17:50~18:00
第四回 第二次世界大戦の長期的影響 (2021年10月9日)
司会:川野健治
- 開会の挨拶及び進行の説明 14:00~14:10
- 実践報告 14:10~14:40
村本邦子(立命館大学総合心理学部教授/臨床心理学・女性学)「日中戦争によるトラウマの世代間連鎖と修復の試み」
- 研究報告
(1)14:40~15:10
竹島正(大正大学地域構想研究所客員教授・一般社団法人全国精神保健福祉連絡協議会会長/精神保健学)・長島三四郎(大正大学地域構想研究所研究員)「戦争がメンタルヘルスにもたらしたインパクト:自殺を中心に」
(休憩 15:10~15:20)
(2)15:20~15:50
蘭信三(大和大学社会学部教授/社会学)「「身体化された軍隊経験」を振り返る-「復員兵の子」というあるひと
つの戦争経験のポストメモリー」
(3)15:50~16:20
森茂起(日本における第二次世界大戦の長期的影響に関する学際シンポジウム実行委員会代表・甲南大学文学部教授/臨床心理学)「なぜ日本人は戦争体験をオープンに話し、経験をたどることができないか」
(休憩 16:20~16:30)
- 指定発言 16:30~16:50
北村毅(大阪大学大学院文学研究科准教授/文化人類学・民俗学)
- ディスカッション 16:50~17:50
- 討論総括及び次回のお知らせ 17:50~18:00
第五回 全体像の理解(2021年11月27日)
司会:竹島正
- 開会の挨拶及び進行の説明 14:00~14:10
- 各回シンポジウム総括
第一回総括 14:10~14:30
中村江里(広島大学大学院人間社会科学研究科准教授/歴史学)
第二回総括 14:30~14:50
森茂起(日本における第二次世界大戦の長期的影響に関する学際シンポジウム実行委員会代表・甲南大学文学部教授/臨床心理学)
第三回総括 14:50~15:10
粟津賢太(上智大学グリーフケアセンター訪問研究員/宗教社会学・宗教人類学)
第四回総括 15:10~15:30
川野健治(立命館大学総合心理学部教授/社会心理学・臨床心理学・自殺予防学)
(休憩 15:30~15:40)
- 講演(日本語通訳あり) 15:40~16:40
オイゲン・コウ(精神科医/メルボルン大学シニア・フェロー)「世代を超えた集団におけるトラウマ、文化におけるトラウマ」
(休憩 16:40~16:50)
- 全体討論 16:50~17:50
※本シンポジウムは、日本学術振興会科学研究費若手研究「復員軍人の『心の中の戦争』」(代表者;中村江里、JSPS科研費21K12909)、および一般財団法人中辻創智社「会議開催費」の助成を受けて開催されました。