沿革
日本の第二次世界大戦のトラウマ体験の長期的影響に関するこの学際的なシンポジウムは、2019年に、アートによるメンタルヘルスの啓発に特別な関心を持つオ―ストラリアのオイゲン・コウ(精神医学・精神分析的精神療法家、セントビンセント病院コンサルタント精神科医)と、その関心を共有する竹島正(精神保健・自殺予防、全国精神保健福祉連絡協議会)の2人によって主催された研究会として始まりました。彼らは、さまざまなアートとメンタルヘルスのプロジェクトで共に働いた10年の間、トラウマとその世代を超えた影響、日本における第二次世界大戦のトラウマについて議論してきました。そして2019年5月、大阪で「トラウマを抱えた地域とメンタルヘルス -第二次世界大戦によるトラウマ-」という小さなワークショップを、同年9月には東京でフォローアップワークショップを開催しました。2020年6月にもワークショップが予定されていましたが、Covidのパンデミックにより中止となりました。
2021年には、最初の2回のワークショップに参加した中村 江里(歴史学、広島大学(当時)) 、粟津 賢太(社会学、上智大学グリーフケア研究所)、森 茂起(心理学・精神分析、甲南大学)、そしてその後、川野 健治(社会心理学、立命館大学)は、オイゲン・コウ、竹島 正とともに、日本の第二次世界大戦のトラウマの長期的影響を考える学際的シンポジウムの第1シリーズ(全5回)を組織するための委員会を発足させました。メルボルンでコウ博士のもとで働く、日本語話者でもあるオーストラリアのキャリー・チェン(精神医学、メルボルン大学)、も加わりました。さらに、2023年には村本 邦子(立命館大学)、松永 健聖(大阪大学)が、2024年にはファン・デル・ドゥース 瑠璃(広島大学)、大岡 由佳(武庫川女子大学)も加わっています。
この5回のシンポジウムは、1)日本の戦争体験、2)日本の戦争への対応、3)トラウマと位置づけ、4)戦争の長期的影響とは何か、5)全体像の把握、をそれぞれのテーマとしました。これらのシンポジウムでは、戦前、戦中、戦後に関する多くの問題を探求することに成功し、今日に残る具体的な長期的影響を考える今後のシンポジウムの土台を築きました。シンポジウムの成果は日本語と英語で、それぞれ出版されています。
これらのシンポジウム、そして今後のシンポジウムの目的は、日本における幸福と調和、そして近隣諸国との平和を増進することです。この目的を達成するためには、何年もかかるでしょう。このシンポジウムは、いかなる政治的な立場も想定していません。参加者は、敬意ある議論と対話のための安全な支援空間を維持することに協力することが望まれます。