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第7回戦争社会学研究会大会レポート

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 戦争社会学研究会の第7回研究大会が埼玉大学にて開催され、二日間を通して計60名近くの方が参加する盛会となりました。参加者も社会学、歴史学、宗教学など他分野にわたり、修士課程の大学院生や社会人の方の参加も多数見られました。

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◎4/23(土)大会一日目
〈個人報告〉
 山本昭宏氏の司会で2名の個人報告が行われました。一番手の須藤遼氏は、日露戦争軍役夫について報告されました。二番手の趙誠倫氏は、マーシャル諸島における日本人兵士と朝鮮人軍夫との関係について報告されました。いずれの報告も1時間という潤沢な報告時間のなかで有意義な議論が交わされました。

〈シンポジウム: ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開」〉
 福間良明氏の司会で戦争社会学の新展開に関するシンポジウムが開かれました。
第一報告者の好井裕明氏は、被爆や戦争に関する言説のマンネリ化に対して危機感を示した上で、戦争に関する映画を幅広く取り上げ、日常生活場面における緩やかな娯楽のなかで「戦争を反芻し反省すること」の持つ可能性について提起されました。
 第二報告者の井上義和氏は、自己啓発などの文脈と結びついた特攻受容という戦争の記憶の現代的状況について取り上げ、記憶の継承とは異なる「遺志の継承」という新たな理解の枠組みについて提示されました。そして、歴史認識の立場の隔たりが大きくなるなかで、異なる立場をつなぐような研究の必要性について提起されました。
 第三報告者の野上元氏は、戦争・軍事が重要な社会問題として認識されているアメリカの状況と、そうした状況に関する最新の研究動向について紹介されました。そして、日本においても戦争=第二次大戦という見方を相対化し、個々の研究を戦争・軍事をめぐる現在の問題へとつなげていく必要性について提起されました。
 以上の報告に対して、コメンテータの蘭信三氏からは戦争をめぐる世代の差異に関する問題提起が、西村明氏からは戦争理解のアップデートとして宗教体験論に関する問題提起が投げかけられました。それに対するリプライの後、フロアからも個別の報告や戦争研究の今後の展開にする活発な議論が展開されました。
 議論の熱も冷めやらぬまま、総会を挟んで開かれた懇親会には30名を超える参加者が集い大盛況となりました。新入会員の自己紹介なども行われ、若い院生も多数参加して賑やかな宴となりました。

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◎4/24(日)大会二日目
〈個人報告〉
 一ノ瀬俊也氏の司会で3名の個人報告が行われました。一番手の中山郁氏は、戦争末期に戦地における遺骨還送・慰霊体制が崩壊していく過程について報告されました。二番手の松岡勲氏は、靖国神社の遺児参拝について、京都市の事例に基づきながら報告されました。三番手の清水亮氏は、下宿・倶楽部という場において軍隊が受容されていく過程について報告されました。いずれの報告に対してもフロアから活発な議論が寄せられ、今後の展開に向けた示唆が示されました。

〈テーマセッション: 「空襲の記憶」の境界――時間・空間・学問を越境して〉
 柳原伸洋氏の司会で「空襲」に関するテーマセッションが開かれました。
 第一報告者の長志珠絵氏は、戦後日本社会における空襲のイメージと空襲市民運動について踏まえながら、「記憶」という視点から日本における防空研究と空襲研究を捉え直し、占領という時間や帝国という空間のなかで空襲の問題を考える重要性について報告されました。
 第二報告者の鎌田真弓氏は、戦勝国であるオーストラリアにおけるダーウィン空襲の記憶が、「国防の最前線」として位置づけられ、国民国家とむすびついていく歴史的な過程とその現況について、モニュメントや追悼式典の事例に基づきながら報告されました。
 以上の報告に対して、コメンテータの木戸衛一氏によるドイツの軍事化と空襲の記憶についての報告、西村明氏による福岡空襲と地域の記憶についての報告、木村豊氏による東京大空襲と広島原爆の比較についての報告と、それぞれの立場から報告者への問いかけがなされました。
 その後フロアを交えて、空襲研究が戦争をめぐる諸研究とどのようにつながっていくのかといった空襲研究の可能性をめぐって議論は白熱し、1時間余りの延長を経て閉会となりました。

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第7回戦争社会学研究会大会プログラム

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第7回戦争社会学研究会大会プログラム

【懇親会の開始時間を変更しました】

≫ポスターのPDFファイルはこちら。戦争社会学研究会大会(2016)ポスター ver.4
4月23日(土)
■個人報告
司会:山本昭宏(神戸市外国語大学)

・個人報告1(13:00~14:00)
須藤遼(慶應義塾大学大学院)
「日露戦争期軍役夫の検討」

・個人報告2(14:10~15:10)
趙誠倫(済州大学校)
「太平洋戦争末期マーシャル諸島の日本兵と朝鮮人軍夫」

■シンポジウム(15:20~17:50)
「ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開」
司会:福間良明(立命館大学)
報告:好井裕明(日本大学)
井上義和(帝京大学)
野上元(筑波大学)
討論者:蘭信三(上智大学)
西村明(東京大学)

・趣意:
「戦後70年」の昨年には、戦争をめぐるさまざまな議論が繰り広げられた。社会学や近接領域も例外ではない。日本社会学会でシンポジウム「戦争をめぐる社会学の可能性」が行われたほか、日本マス・コミュニケーション学会、同時代史学会等で「戦後70年」を主題としたシンポジウムやワークショップが開かれた。広義の戦争社会学に含まれる研究書の刊行も少なからず見られた。
こうしたなかで垣間見られたのは、従来の知見をふまえつつも、それらを相対化しようとする試みであったように思われる。日本社会学会シンポジウムでは、「新しい戦争」も視野に入れつつ戦争という現象を理論社会学として捉え返す視角や、アメリカのミリタリー・ソシオロジーの動向と日本の潮流との対比に言及がなされたほか、いくつかの学会・研究書では、戦争の記憶の「脱文脈化」を正面から取り上げる動きも見られた。本シンポジウムでは、これらの議論も念頭に置きつつ、「ポスト戦後70年」における戦争社会学のあり方について検討を行ないたい。それはすなわち、本研究会の議論のありようを、どのように展開させていくのかを考えようとするものでもある。
報告者としては、好井裕明氏、井上義和氏、野上元氏に登壇いただく。好井氏はこれまでに被爆をめぐる表象や記憶に関する研究を積み重ねてこられたほか、日本社会学会における上記シンポジウムにおいても、企画や司会を務められた。こうした蓄積をふまえたうえで、今後の戦争社会学の方向性についてご議論いただく。
井上義和氏は、戦争の記憶が、戦後的な戦争観や地域の体験から脱文脈化される形で再編・受容される近年の動向について、教育社会学の視点から研究を進めている。こうした、「記憶の継承」という従来の枠組みでは捉えきれない現象へのアプローチについて、問題提起していただく。
野上元氏は、これまで多くの戦争社会学の研究蓄積を有する一方、これらをより普遍的な視座から検討できるよう、近年では「戦争史記述の社会学的規準」と題する作業を続けている。2015年度の在外研究の成果もふまえつつ、今後戦争社会学にどのようなテーマがありえるのかについて語っていただく。
以上の議論に対して、蘭信三氏にはおもに社会編成や人口移動の観点から、西村明氏には慰霊・記憶研究の観点からコメントをしていただく。そのうえで、今後の戦争社会学の展開として、いかなる方向性があり得るのかについて、考察を深めていきたい。

■総会(17:50~18:20ごろ)

■懇親会(18:30~20:30) 教職員食堂「バル・メリンの森」
*18時30分を目安にしていますが、総会次第では開始時間が遅れる可能性があります。何卒ご了承ください。

4月24日(日)
■個人報告
司会:一ノ瀬俊也(埼玉大学)
・個人報告3(10:00~11:00)
中山郁(國學院大學)
「戦地における遺骨還送・慰霊体制の崩壊と戦友・遺族:東部ニューギニア・ブーゲンビル島の事例から」

・個人報告4(11:10~12:10)
松岡勲(立命館大学非常勤講師)
「京都市の靖国神社遺児参拝:1950年代の靖国神社遺児参拝の実像」

===昼食休憩===

・個人報告5(13:10~14:10)
清水亮(東京大学大学院)
「地域社会において軍隊はいかに受容されてきたか:海軍航空隊の下宿・倶楽部を中心に」

■テーマセッション(14:20~16:50)
「「空襲の記憶」の境界 ―時間・空間・学問を越境して―」
司会:柳原伸洋(東海大)
問題提起:長志珠絵(神戸大学) 「空襲」イメージがはらむ記憶の国境線――帝国の防空とその記録・記憶
鎌田真弓(名古屋商科大学) ダーウィン空襲の記憶:「オーストラリア国防の最前線」を語り継ぐ
討論者:木戸衛一(大阪大学) :ドレスデン・政治学の観点から
西村明(東京大学) :福岡・長崎・宗教学の観点から
木村豊(日本学術振興会特別研究員PD) :東京・広島・社会学の観点から

・趣旨:
戦後70年を迎えた2015年は、各種メディアや研究のほぼ全てにおいて「体験者の減少」や「継承の問題」についての言及があったといえる。戦争社会学研究会でも、2015年度大会で博物館展示を通じた「継承」が議論された。また、本大会一日目のシンポジウムでは、「ポスト戦後70年」が取り扱われる予定である。
大会二日目の本テーマセッションでは、テーマを「空襲」にしぼり、「継承」そして「ポスト戦後70年」について考えてみたい。本企画は、「日独比較を通じた『空襲の記憶継承学』の構築」(挑戦的萌芽研究 代表:木戸衛一)との共催となる。この科研費調査では、空襲の記憶が、日本・東ドイツ・西ドイツにおいて「いかに継承されてきたのか」を比較考察している。本セッションでは、地域・学問領野をさらに広げることで、「空襲記憶」や「継承」の多様性から各知見を比較考量することで、「記憶」「継承」などの概念も再検討しつつ、今後の空襲研究の展望を示す。また、質疑応答では、戦争社会学研究への定置も試みていきたい。
*会場
埼玉大学教養学部棟3階 31番教室

交通アクセス:http://www.saitama-u.ac.jp/access/accessmap.html
校内案内図 :http://www.saitama-u.ac.jp/access/campus.html

*大会参加費など
会員(専任・院生とも):2000円(+年会費)
非会員(専任・院生とも):3000円
年会費 有職者:2000円、その他のかた:500円
以上、頂戴します。整理しますと、
会員有職者・4000円
会員(院生など)・2500円
非会員・3000円
となります。

*聴覚障害等のある方で、情報保障の必要な方は、2月末日までに、下記の連絡先までお問い合わせください。(予算・人員の関係上、手話通訳等ではなくノートテイク等での対応とさせていただく可能性があります。また、できるだけ報告レジュメの電子ファイルでの事前提供に努めますが、報告者によっては事前提供や電子ファイルでの提供が難しい場合もあります。あらかじめご了承ください。)

*発表に際し、パワーポイントをご使用の場合は、ご自身のノートPCをご持参ください。

*場合によって多少の変更の可能性があります。

*問い合わせ先 戦争社会学研究会事務局宛( ssw.adm@gmail.com )

戦争社会学研究会2015年度関西例会 『軍隊の文化人類学』 合評シンポジウム

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戦争社会学研究会 2015年度 関西例会
『軍隊の文化人類学』合評シンポジウム

ポスターのPDFファイルはこちら⇒2015年度関西例会

日時:2015年11月21日(土) 13時開場 13時30分開始
会場:京都大学人文科学研究所4階大会議室

1. プログラム
司会進行:山本昭宏(神戸市外国語大学)
(1)開会の挨拶(13時30分)
西村明(戦争社会学研究会運営委員)
(2)合評者1 西村明(東京大学・宗教学)(13時40分~14時10分)
(3)合評者2 荻野昌弘(関西学院大学・社会学)(14時10分~14時40分)
<休憩>(20分)
(4)合評者3 栗本英世(大阪大学・文化人類学)(15時~15時30分)
(5)執筆者からのリプライ(15時30分~16時20分)
<休憩>(10分)
(6)総合討論会(16時30分~17時30分)
(7)閉会の挨拶
蘭信三(上智大学)

2. 懇親会(18時~)
会場近辺で開催の予定(受付の際に参加希望を取ります)

*田中雅一編『軍隊の文化人類学』風響社、2015 年
目次など詳細情報は、風響社ホームページをご確認ください。
http://www.fukyo.co.jp/book/b194108.html

*事前申込不要・参加無料

*お問い合わせは、戦争社会学研究会事務局宛(ssw.adm@gmail.com) まで

戦争社会学研究会・関東例会「戦争と占領、軍事基地がもたらす「島」社会への政治・社会的影響」

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戦争社会学研究会・関東例会
  開催日時:8月28日15時〜18時ごろ
  開催場所:法政大学新見附校舎A305教室(市ヶ谷キャンパス)
http://www.hosei.ac.jp/gaiyo/campus/ichigaya/ichigaya.html
*事前申込不要・参加無料

例会テーマ:戦争と占領、軍事基地がもたらす「島」社会への政治・社会的影響
  報告者:長島怜央(法政大学兼任講師)
  討論者:石原俊(明治学院大学)
  司会:深谷直弘(専修大学非常勤講師)

例会趣旨:
 <戦争>という現象が、どのように社会に影響を与えてきたのか。これに即して戦争社会学研究会では、社会に普及した戦争記憶の表象や(軍事)基地の文化といった文化現象を多く取り上げてきた。しかし近年の沖縄の辺野古基地移設問題といった<戦争>(軍事化)と地域社会の現実の政治問題との関係については、積極的に触れられてこなかったように思える。
 そこで、今回の関東例会では、<戦争>がもたらす「島」社会への政治的・社会的影響について議論することとしたい。今回は、議論の対象としてグアム社会を取り上げることにした。グアムは、日本の淡路島と同じ大きさで、局所的に林立する観光施設と巨大な米軍施設のある島である。そして、かつて(1941年12月〜1944年8月)は大宮島という日本の領土でもあった。
 グアム社会には、日本軍占領の影響と米軍再占領・米軍事基地設置の影響が、社会のなかで複合的かつ重層的に絡み合っている。グアム社会において、戦争や軍(合法的暴力組織)が、地域社会の仕組みや住民の社会意識の中にどのような形で影響しているのか。今回はこうした部分に着目し、グアムをフィールドにして調査研究を続けてこられ、今年3月に単著『アメリカとグアム: 植民地主義、レイシズム、先住民』を上梓した長島怜央さんに報告をお願いした。
 また、この報告を通じて、これまで戦争社会学が論じてきたテーマでもある、戦争記憶や基地文化、慰霊などとの議論の接続も試みたい。

2016年度研究大会の日程・会場

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次年度の研究大会の日程・会場が次の通り決定いたしました。
第7回戦争社会学研究会研究大会
日時:2016423日(土)・24日(日)
会場:埼玉大学
大会の詳細及び報告者の募集等につきましては改めてご連絡せていただきます。

*研究会会員の方には、上記と同じ内容のものをメールにて
ご案内差し上げております。会員でメールが届いていない方が
いらっしゃいましたら、大変お手数ではございますが、事務局
までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

 

第6回 戦争社会学研究会 大会プログラム

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戦争社会学研究会 第6回研究プログラム

≫PDFファイルでもご覧になれます。第6回戦争社会学研究会大会プログラム

4月11日(土)

■個人報告
司会:青木秀男(社会理論・動態研究所)

・個人報告1(13:00~14:00)
冨永佐登美(長崎大学大学院)
「近代日本と「赤十字精神」の変容:看護婦生徒による答辞を手がかりとして」

・個人報告2(14:15~15:15)
高誠晩(京都大学大学院)
「南西諸島出身の行方不明者が台湾「二二八事件受難者」になるということ」

■特別講演(15:30~17:30)
「『従軍慰安婦問題』の論点 戦争社会学の視点から」
司会:福間良明(立命館大学)
講演:永井和(京都大学)
代表質問者:野上元(筑波大学)・木下直子氏(社会理論・動態研究所)
・趣意
いわゆる「従軍慰安婦問題」には多様な側面がある。様々な論者によって議論が激しく行われているが、むしろそこで見過ごされている論点や前提、盲点はないだろうか。このセッションでは、それを探すことに力を注ぎたい。それは、この「問題」に対し、この研究会、すなわち「戦争社会学」に何が出来るだろうかという問いにも繋がっている。
今回のセッションでは、京都大学の永井和氏を招き、まず基本的な論点を講演で示していただく。その後に、本研究会を代表して木下・野上の2名があらかじめ会員から募った質問を整理して永井氏に寄せる。当日は、会員の多様さに応じた論点が提起されるはずだろう。

■総会(17:35~)

■懇親会(18:00~)

 

4月12日(日)

■個人報告
司会:西村明(東京大学)

・個人報告3(10:00~11:00)
清水亮(東京大学大学院)
「海軍航空隊をめぐる地域の記憶のトポグラフィー――茨城県阿見町を中心に」

・個人報告4(11:15~12:15)
土門稔(関西学院大学大学院)
「江田島海上自衛隊教育参考館 近江一郎収集特攻関連資料からみる昭和21年~26年にかけての特攻兵士慰霊と遺族の実態」

==昼食休憩==

・個人報告5(13:15~14:15)
赤江達也(国立高雄第一科技大学)
「台湾の官立追悼施設・忠烈祠の形成と変容」

■テーマセッション(14:30~17:00)
「戦争と展示 ~大和ミュージアムをめぐって~」
司会・山本昭宏(神戸市外国語大学)
問題提起・一ノ瀬俊也(埼玉大学)
・山本理佳(愛知淑徳大学)
討論者・浜日出夫(慶應義塾大学)
・趣意
近年、アジア太平洋戦争を体験した世代の減少が問題になるなかで、戦争記憶の「継承」の問題が関心を集めている。非体験世代が戦争に触れる回路は、直接体験者から教育やメディアにシフトしたといえるだろう。
そこで関心が集まっているのが、戦争ミュージアムである。戦争の遺物を集めて展示し、来館者に見せるという行為は、戦争記憶の「継承」にいかに関与しているのだろうか。
本テーマセッションでは、呉市海事歴史科学館・大和ミュージアムに焦点を当てる。戦後史のなかの戦艦大和の存在、呉市における大和ミュージアムの位置づけ、そして展示のあり方などについて多角的に考察するセッションとなるだろう。

 

*会場
東海大学高輪キャンパス 4号館4206教室
交通アクセス:http://www.u-tokai.ac.jp/about/campus/takanawa/

*大会参加費など
会員(専任・院生とも):2000円(+年会費)
非会員(専任・院生とも):3000円
年会費 有職者:2000円、その他のかた:500円
以上、頂戴します。整理しますと、
会員有職者・4000円
会員(院生など)・2500円
非会員・3000円
となります。

*懇親会
東海大学高輪キャンパス内の学生食堂で懇親会を開催いたします。
院生等の方々には、過度の負担がかからない程度の金額設定で考えております。

*聴覚障害等のある方で、情報保障の必要な方は、2月末日までに、下記の連絡先までお問い合わせください。(予算・人員の関係上、手話通訳等ではなくノートテイク等での対応とさせていただく可能性があります。また、できるだけ報告レジュメの電子ファイルでの事前提供に努めますが、報告者によっては事前提供や電子ファイルでの提供が難しい場合もあります。あらかじめご了承ください。)

*発表に際し、パワーポイントをご使用の場合は、ご自身のノートPCをご持参ください。

*場合によって多少の変更の可能性があります。

*問い合わせ先 戦争社会学研究会事務局宛( ssw.adm@gmail.com )

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戦争社会学研究会・関東例会「慰霊するモノと人びと――海外戦没者をめぐる記憶のエージェンシー」

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共催:「戦争死者慰霊の関与と継承」研究プロジェクト第7回研究会、科研費基盤研究B「連合国のアジア戦後処理に関する宗教学的研究――海外アーカイヴ調査による再検討」(研究代表者:創価大学中野毅)

日時:2014年11月1日(土)13:00開場、13:30~17:40
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館1階113教室

p1060615_3今回は、戦争社会学研究会・関東例会及び中野毅先生の科研プロジェクトとの共催で行われ、あいにくの雨天にもかかわらず様々な分野から35名ほどの参加者が足を運び、盛会となった。まず、中野先生より開会の挨拶が行われた。

○趣旨説明(西村明・東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
まずは、西村氏が、海外戦没者をめぐる慰霊の担い手としての「第三者」(遺族や戦友などの戦没者と直接の関係を有する者以外の人々や慰霊碑・仏像などのモノ)に着目する視座を提起し、自身のフィールドワークにおける事例の紹介や、社会学等の先行研究における位置づけを行った。

 

 

 

p1060622_2(1)「可視化された海外戦没者――遺骨収集団の派遣再開をめぐって」
(浜井和史・帝京大学総合教育センター専任講師)
今春『海外戦没者慰霊の戦後史』を出版した浜井氏は、「1950年代で「概了」とされた政府の遺骨収集の取組みが1960年代にどのように再開されたのか」という問いに対し、外交史の分野から諸史料を検討し、海外渡航の自由化を契機とする「体験としての海外戦没者の可視化」が大きな役割を果たしたという指摘を行った。また、靖国国家護持法案を巡って対立していた自民党と社会党が遺骨収集の推進に関しては共通の関心をもっていた等の興味深い事実が報告された。最後に、今後の研究課題として、遺骨収集事業の「区切り/再開」をそれぞれ求める政府や遺族等のメンタリティに対して宗教学・民俗学・社会学などからアプローチする可能性や、日本側史料だけではなく現地政府・住民の視点を取り入れた多元的検討の必要性に言及した。

 

 

p1060642(2)「戦没者慰霊と観音菩薩像――山崎良順の事例を中心に」
(君島彩子・総合研究大学院大学日本歴史研究専攻博士後期課程)
芸術学をバックグラウンドとする君島氏は、戦没者慰霊のために発願された観音像という対象に着目した研究を試みている。今回は、僧侶でありながら殺生に関わる従軍を経験し、戦後は戦没者慰霊と平和祈願のために数多くの平和観音像を国内外に贈った山崎良順をとりあげ、その活動や思想を詳細に報告した。この事例研究から、発願者/製作者/宗教者/参拝者という複数の主体が関わり合いのなかで様々な主体の思いや記憶を繋げる平和観音像というモノを研究することが戦没者慰霊に貢献する可能性を示したといえるだろう。

 

 

 

 

p1060649(3) 「死者と生者を結びつける人々――パプアニューギニアにおける戦地慰霊と旅行業者」
(中山郁・國學院大學教育開発推進センター准教授)
修験道などを専門とする宗教学者の中山氏は、近年精力的にフィールドワークを行ってきたパプアニューギニアにおける戦没者慰霊を題材に、旅行業者や添乗員、在留邦人などの戦争と直接関わりを持たない人々が、戦没者慰霊団との共感的関わりや知識学習のなかで傍観者から記憶の継承者(エージェント)へと変化し、生き残りの戦友に代わって慰霊団にとっての「先達」の役割を務めるようになる現象に着目する。そして豊富な事例紹介から、慰霊巡拝は、単に霊を慰めるというだけではなく、戦友や遺族などがネットワークを形成する場としてのネットワーク機能や、継承者を生み出す場としてのリクルート機能を持っていることを明らかにした。

 

 

 

p1060657○ディスカッサントからのコメント
(粟津賢太:南山宗教文化研究所研究員)
以上を踏まえて、宗教社会学者の粟津氏が、全体的なコメントとして、今回の企画をこれまでの戦没者慰霊研究の流れに位置づけ、エージェントの対概念としてのペーシェントpatient概念や集合的記憶概念に言及しつつまとめを行い、各報告者へ個別の質問やコメントを投げかけた。その後、フロアからも次々と質疑がなされた。報告を踏まえて、世代変化、遺骨への執着、トランスナショナルな慰霊の可能性、戦後処理といったトピックをめぐる議論が展開され、鋭くも有益な批判も寄せられた。最後に戦争社会学研究会代表の野上元氏が、多面的な戦争という対象を捉えるために様々な分野を突き合わせて取り組むことの重要性を確認して幕を閉じた。

研究会後に設けた懇親会にも20名を超える参加者があり、様々な出会いや交流、さらなる議論が展開される賑やかな場となった。

(清水亮・東京大学大学院人文社会系研究科社会学研究室M1)

戦争社会学研究会・関東例会「慰霊するモノと人びと――海外戦没者をめぐる記憶のエージェンシー」

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戦争社会学研究会・関東例会
共催:「宗教と社会」学会「戦争死者慰霊の関与と継承」研究プロジェクト、科研費基盤研究B「連合国のアジア戦後処理に関する宗教学的研究―海外アーカイヴ調査による再検討」(研究代表者:創価大学中野毅)

「慰霊するモノと人びと――海外戦没者をめぐる記憶のエージェンシー」
本シンポジウムの主題は、従来の戦死者慰霊の研究の中では十分論じられることがなかった、戦後の海外戦没地における慰霊や遺骨収集等、海外戦没者をめぐる記憶の為された方、作られ方である。その際、誰が記憶し、慰霊を成り立たせているのかということを照射するために、第三者のチカラを見据えた議論を行う。この場合の第三者とは、戦没者と直接の関係を有する遺族や戦友以外のさまざまな立場から関わる人びとや、慰霊碑や仏像等のモノを指している。文献調査と現場調査による成果の両面から、海外戦没者をめぐる状況の立体的理解を目指したい。

日時:2014年11月1日(土)13:00開場、13:30~17:40
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館1階113教室
アクセスマップ・会場案内
日程:
13:00 開場
13:30~13:40 開会挨拶(中野毅:科研研究代表者・創価大学文学部教授)
13:40~13:55 趣旨説明・登壇者紹介(西村明・東京大学大学院人文社会系研究科准教授)
13:55~14:30 浜井和史(帝京大学総合教育センター専任講師)
「可視化された海外戦没者―遺骨収集団の派遣再開をめぐって―(仮)」
14:30~14:40 休憩(10分)
14:40~15:15 君島彩子(総合研究大学院大学日本歴史研究専攻博士後期課程)
「戦没者慰霊と観音菩薩像―山崎良順の事例を中心に―」
15:15~15:50 中山郁(國學院大學教育開発推進センター准教授)
「死者と生者を結びつける人々―パプアニューギニアにおける戦地慰霊と旅行業者―(仮)」
15:50~16:05 休憩(15分)
16:05~16:25 ディスカッサントからのコメント(粟津賢太:南山宗教文化研究所研究員)
16:25~17:30 コメントへの応答とフロア・ディスカッション
17:30~17:40 閉会挨拶(野上元:戦争社会学研究会代表・筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授)

なお、18:30より会場近くで懇親会を設けます。ご参加希望の方は、当日会場にて受付をします。

問い合わせ先:西村明(東京大学文学部宗教学宗教史学研究室、aquillax<アットマーク>gmail.com)
※<アットマーク>の部分を半角英数の@へ代えて送信してください。

>>チラシのダウンロード

戦争社会学研究会・関西学院大学先端社会研究所「戦争が生み出す社会」―関西学院大学先端社会研究所叢書『戦争が生み出す社会』を手がかりとして―

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日時:2014 年9 月15 日(月)13 時半~ 17 時半
場所:関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405 号室

司会進行:蘭 信三 氏(上智大学)・山本昭宏 氏(神戸市外国語大学)
プログラム
13:30        開会の挨拶  野上 元 氏(戦争社会学研究会代表)
13:40 ~ 14:20 荻野昌弘編『戦後社会の変動と記憶』新曜社
            報告者 福間良明 氏(立命館大学)・蘭 信三 氏(上智大学)
14:20 ~ 15:00 島村恭則編『引揚者の戦後』新曜社
            報告者 松田ヒロ子 氏(神戸学院大学)・松浦雄介 氏(熊本大学)
15:00 ~ 15:20 休憩
15:20 ~ 16:00 難波功士編『米軍基地文化』新曜社
            報告者 野上 元 氏(筑波大学)・青木 深 氏(一橋大学)
16:00 ~ 16:45 執筆者からのリプライ
16:45 ~ 17:30 総合討論
17:30          閉会の挨拶  荻野昌弘 氏(関西学院大学)
18:00          懇親会

※事前申込不要・参加無料

会場へのアクセス
関西学院大学大阪梅田キャンパス 1405 号室
(〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町19-19 アプローズタワー<ホテル阪急インターナショナル>14 階)

主催:戦争社会学研究会・関西学院大学先端社会研究所
連絡先:戦争社会学研究会事務局 E-mail こちらをクリック
先端社会研究所事務室 TEL 0798-54-6085 E-mail asr<アットマーク>kwansei.ac.jp

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第5回 戦争社会学研究会 大会プログラム

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2014年3月8日(土)
■個人報告1(12:30-14:15)
 司会:蘭信三(上智大学)
  報告者:櫻井悟史氏(立命館大学専門研究員)「軍隊における刑罰についての思考様式――死刑を手がかりに」
・要旨
 報告者は、日本で死刑が存置され続けるのはなぜか、死刑を支える思考様式とはなにかという問題関心から、研究に取り組んでいる。そうした研究において避けることができないのが、軍刑法における死刑についてである。
 先行研究では、軍法会議の運用について、手続き上さまざまな問題があったことが指摘されている。また、戦時体制下においては、一般刑法による死刑より、軍刑法による死刑の方が圧倒的に多かったことを示唆するデータもある。しかし、手続き上の問題があったことと、刑罰として死刑が多く用いられたことは必ずしも順接しない。それでは、なぜ軍隊では一般刑法と比べて多くの死刑が用いられたのか。そうした死刑の運用が可能だったのはなぜなのか。
 本報告の目的は、身体に苦痛を加えることと軍隊社会のよりよき統制がいかに結びついていたのかに注目し、そこから大量の死刑を可能とした刑罰についての思考様式を明らかにすることで、上記の問いにこたえることにある。また、そうした思考様式が、戦後の死刑論争にいかなる影響を与えたのか、すなわち軍刑法の廃止とともにそうした思考様式も廃棄されたのか、あるいは別の形で戦後に継承されたのかについても、あわせて検討したい。