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『戦争社会学研究』第2巻 投稿論文募集のお知らせ

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会員の皆さまより2018年4月刊行予定の『戦争社会学研究』第2巻への投稿論文(査読付き)を募集いたします。

投稿期間は、
2017年9月1日(金)~2017年10月1日(日)必着。
となります。

詳細は、戦争社会学研究会HP上の『戦争社会学研究』ページ https://scholars-net.com/ssw/sensoushakaigakukenkyu (menuバー →『戦争社会学研究』)並びに、以下のリンクを参照ください。

募集要項『戦争社会学研究』第2巻

投稿規程『戦争社会学研究』

執筆要領[『戦争社会学研究』

多数のご応募を心よりお待ちしております。

お問い合わせ先:
戦争社会学研究編集委員会 ssw.editors*gmail.com(*を@に代えてください。)

第8回大会印象記

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戦争社会学研究会の第8回研究大会は、琉球大学で開催されました。沖縄での開催は、研究会にとっても大きな挑戦でしたが、二日間を通して計40名近くの方が参加する盛会となりました。会場では、『戦争社会学研究』創刊号の見本の披露もなされ、印象深い大会となりました。

◎4/22(土)大会一日目
西村明さんの司会で3名の個人報告が行われました。アウケマ・ジャスティンさんの報告は、戦跡としての大学という視点から、大学の理念やそのイメージの利用という「戦争の記憶」研究においても興味深い視点を提起されました。また、中山郁さんの報告では、遺族・地域社会を巻き込みながら、戦友会がまさに「第18軍」的規模で遺骨収集を実現させてゆく昭和40年代の動きを明確にしてくれました。さらに渡邊勉さんの報告では、SSM調査の1906-25年生コーホートの職歴データを使うという方法によって、兵役経験と復員後の職業選択の関連・影響を計量的に示してくれました。
また、柳原伸洋さんの司会で、南風原文化センターの平良次子さんから、大会三日目のエクスカーションの事前情報提供を行ってくれました。時代・世代を越えて記憶を継承してゆこうとする文化センターの様々な試みについて紹介をしてくれました。

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◎4/23(日)大会二日目
体調不良で来沖できなかった一ノ瀬俊也さんに代わり、石原俊さんの司会で個人報告が行われました。塚原真梨佳さんの報告は、メディア・イベント化される慰霊行事中継番組を丁寧に調べたものでしたが、「今後の展望」として示された、ポスト・テレヴィジョンにおける慰霊行事についても興味深いものでした。
その後の「『野火』の戦争社会学」シンポジウムでは、司会をされた山本昭宏さんの主旨説明のあと、まず福間良明さんが主に市川崑映画版を題材に、市川版を取り巻いていた戦争映画の「広がり」や1980年代以降の「まじめ化」による「幅の狭まり」を指摘してくれました。次に野上元は、主に塚本晋也映画版を題材に、「戦場と視線」という問題や、身体の「モノ」化を描くスプラッタ映画の技術と戦争(反戦)映画の結合を指摘しました。さらに成田龍一さんの報告は、大岡昇平の原作を題材に、大岡を正典化し私たちの「読み」を規定している「戦後」という歴史性を、大岡の改稿過程をたどるなかで描き出してくれました。
三人の報告に対し、青木深さんは「生きられた地理」という視点から、『野火』の舞台となった「武蔵野」と「フィリピン」に結びつけることで議論の幅を広げてくれ、松下優一さんは、三つの作品の相違のひとつの鍵といえるキリスト教のシンボルに注目することで議論の深度を掘り下げてくれました。会場からの質問や意見も交えて議論は大いに盛り上がり、「『野火』の戦争社会学」という問題提起の可能性を確認するところとなりました。
個人報告でもシンポジウムでも、初日・二日目の諸報告で印象的であったのは、様々なテーマがあり得ることもさることながら、「方法」の多様性も意識され始めたのではないかということでした。特に渡邊さん・塚原さんの試みには、非常に可能性を感じました。そうしたアイディアを持ち寄って交換する研究大会の意義を改めて思った次第です。

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◎4/24(月)大会三日目
大会三日目となる24日は、本研究会初めての試みであるエクスカーションを行いました。午前中に訪れた南風原文化センターでは、ヘルメットをかぶって懐中電灯を抱え、真っ暗な陸軍病院壕跡に入りました。壕内のにおいを再現した試みも印象的でした。「ふみや」での昼食後をはさんで、午後は「不屈館」を訪問、瀬長館長や山城博治さんのお話を伺うことができました。参加者は15名でした。前二日間の大会での内容と様々なかたちで結びつき、沖縄という場所と戦争・軍事の関わりの過去と現在の状況を学ぶ、印象深いエクスカーションとなりました。
この場をお借りして、大会の開催に当たって尽力下さった各位、南風原文化センターの平良様、参加者の皆様に深く御礼申し上げます。
(野上元)

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戦争社会学研究創刊号の刊行

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おかげさまで会誌『戦争社会学研究』創刊号が無事刊行されました。
ご協力いただいた皆様に深く御礼申し上げます。

書店販売もしておりますので、非会員の方々もぜひご覧ください。
http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&products_id=100734
内容は以下の通りになります。

第1巻『ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開』
戦争社会学研究会編 2017年4月 勉誠出版

〇目次
創刊の言葉 野上元

特集1 ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開
特集企画にあたって―ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開 福間良明
「戦争社会学」が開く扉 野上元
感謝の発露と美化批判―ポスト戦後七〇年の対立軸 井上義和
「特攻による活入れ」という衝撃―「記憶の継承から遺志の継承へ」モデルの批判的検討 蘭信三
シズメとフルイのアップデート 西村明

特集2 「空襲の記憶」の境界―時間・空間・学問を越境して
企画の趣旨、そしてそれをさらに「越える」ために 柳原伸洋
「防空」という視座―「防空」と「空襲」/「空爆」のあいだ 長志珠絵
ダーウィン空襲の記憶―「オーストラリア国防の最前線」を語り継ぐ 鎌田真弓
軍事化に抗する「戦争の記憶」―ドレスデン「〈一九四五年二月一三日〉協会」の歩み 木戸衛一
社会学はいかに空襲を記述できるのか? 木村豊
空襲の記憶とポスト戦後 西村明

投稿論文
一九五〇年代末―七〇年代初頭のSF ショート・ショート作品における核エネルギー表象 森下達

編集後記 西村明

第8回戦争社会学研究会大会プログラム

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第8回戦争社会学研究会大会(2017年4月22日~24日 琉球大学)

*4/2 エクスカーションなどの詳細情報を追記いたしました。
*4/14 エクスカーション関連情報の追加・修正をいたしました。
*ポスターのPDFファイルはこちらです 戦争社会学研究会大会(2017)ポスター

4月22日(土)
■個人報告
司会: 西村明(東京大学)

・個人報告1 13:00~14:00
アウケマ・ジャスティン 上智大学大学院
「戦跡としての大学:慶應義塾大学を事例にして」

・個人報告2 14:15~15:15
中山郁 國學院大學
「東部ニューギニア地域における遺骨収集の展開と戦友会」

・個人報告3 15:30~16:30
渡邊勉 関西学院大学社会学部
「復員兵からみた戦後占領期の労働市場-SSM調査の職歴データの分析-」

■沖縄エクスカーションに関する事前情報提供 16:45~17:30
平良次子(南風原文化センター)
「南風原文化センターの取り組みと沖縄陸軍病院壕ーエクスカーションの事前学習を兼ねてー」
司会: 柳原伸洋(東京女子大学)
※なお、本講演はエクスカーションに参加されない方もぜひ聴講ください。

■総会 17:30~

■懇親会 18:00~

4月23日(日)
■個人報告
司会: 一ノ瀬俊也(埼玉大学)

・個人報告4 13:00~14:00
塚原 真梨佳 情報科学芸術大学院大学大学院
「全国戦没者追悼式を中心とした慰霊行事のテレビ中継の変遷-メディア・イベント化する慰霊の研究に向けて-」

■シンポジウム 14:15~17:00
「『野火』の戦争社会学」
・司会
山本昭宏(神戸市外国語大学)
・報告者
野上元(筑波大学)
福間良明(立命館大学)
成田龍一(日本女子大学)
・討論者
青木深(東京女子大学)
松下優一(法政大学大原社会問題研究所環境アーカイブズRA)

・趣意
『ビルマの竪琴』『ひめゆりの塔』『黒い雨』など、映画化された戦争文学は多い。
たとえば「ビルマの竪琴」と口にする場合、その言葉は、原作小説と映画作品を包括する物語内容とそこで描かれる「戦争の受け止め方」をともに含んでいる。戦後日本社会の戦争認識を考える際、こうした戦争に関する「古典」の存在を無視できない。
こうした問題意識のもと、本シンポジウムでは大岡昇平の『野火』(1951年)とその映画化作品(1959年、2015年)に焦点を絞る。戦争文学と映画を題材にした文学研究、映画研究、歴史学の研究はすでに数多く存在するが、その上で、「戦争社会学」は、どのように戦争文学・戦争映画と向き合うことができるのだろうか。本シンポジウムでは、あえて『野火』に対象を絞ることで、登壇者に、それぞれのアプローチを提示していただく。「戦争社会学」があり得るとしたら、それはどのように文学・映画に向き合うことができるのか、その方法を浮き彫りにし、共有したい。
報告者は以下の三名である。
『戦争体験の社会学』(2006年)で、戦争を書くとはどういうことなのか、を大岡昇平に注目して論じておられた野上元氏。
『反戦のメディア史』(2006年)や『「戦争体験」の戦後史』(2009年)をはじめとする著作で、戦争文学・映画・遺稿集などとそれらが発表された社会との関係を考察されてきた福間良明氏。
日本近現代史研究を牽引してこられ、『「戦後」はいかに語られるか』(2016年)や『戦争文学を読む』(1999年)で大岡昇平について分析された成田龍一氏。
討論者には、戦後日本文化における米軍基地の役割を歴史人類学的に問い直してこられた青木深氏と、沖縄文学に社会学的にアプローチしてこられた松下優一氏を迎える。

4月24日(月)
■エクスカーション
8:50 県民広場前(那覇市)集合
9:30 南風原文化センター
9:35 陸軍病院壕の解説ビデオを視聴
10:10 沖縄陸軍病院南風原号第20号見学
11:00 南風原文化センター内の展示を見学
11:40 昼食:南風原の琉球料理店を予定
13:30 那覇へ移動、「不屈館」訪問
15:00 県民広場前解散
→当日、17時台等の飛行機で帰られる方は、ゆいレールの県庁前、あるいはさらに那覇空港寄りの駅への移動を予定。

※移動はマイクロバスで行う予定です。
※昼食は各自の実費となります。また、入館料+バス代金を頭割りいたします。
※エクスカーション申し込み期間:4月5日(水)までに、戦争社会学研究会事務局宛( ssw.adm@gmail.com )にご連絡ください。

*会場
琉球大学(千原キャンパス)法文学部 新棟114教室

交通アクセス: http://www.u-ryukyu.ac.jp/univ_info/general/access/index.html
校内案内図: http://www.u-ryukyu.ac.jp/univ_info/campus_map.html

*大会参加費など
会員(専任・院生とも):2,000円(+年会費)
非会員(専任・院生とも):3,000円
年会費 有職者:5,000円、その他の方:2,500円
以上、頂戴します。
整理しますと、
会員有職者(専任教員およびこれに準じる者): 7,000円
会員その他の方(非常勤講師・大学院生・学部生およびこれに準じる者): 4,500円
非会員:3,000円
となります。

*聴覚障害等のある方で、情報保障の必要な方は、3月末日までに、下記の連絡先までお問い合わせください。(予算・人員の関係上、手話通訳等ではなくノートテイク等での対応とさせていただく可能性があります。また、できるだけ報告レジュメの電子ファイルでの事前提供に努めますが、報告者によっては事前提供や電子ファイルでの提供が難しい場合もあります。あらかじめご了承ください。)

*発表に際し、パワーポイントをご使用の場合は、ご自身のノートPCをご持参ください。

*場合によって多少の変更の可能性があります。

*事前登録不要・参加自由(エクスカーションを除く)。

*問い合わせ先 戦争社会学研究会事務局宛( ssw.adm@gmail.com )

2016年度関西例会 『怪獣から読む戦後ポピュラー・カルチャー: 特撮映画・SFジャンル形成史』合評会

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戦争社会学研究会2016年度関西例会『怪獣から読む戦後ポピュラー・カルチャー: 特撮映画・SFジャンル形成史』合評会

■日時 2016年12月23日(祝・金)
開場:15時30分~
開始:16時~
終了:18時30分(その後、懇親会)

■会場
立命館大学梅田キャンパス・多目的室
富国生命ビル5階 http://www.ritsumei.ac.jp/osakaumedacampus/access/

■プログラム
司会進行:福間良明(立命館大学)
・開会のあいさつ
・評者1:山本昭宏(神戸市外国語大学):歴史社会学・核エネルギー表象史の観点から
・評者2:柳原伸洋(東海大学):ドイツ現代史・ポップカルチャーと戦争の観点から
・著者からのリプライと評者からの再応答
・全体討論

*森下達『怪獣から読む戦後ポピュラー・カルチャー: 特撮映画・SFジャンル形成史』(青弓社、2016年10月)については、青弓社のHPをご覧ください
http://www.seikyusha.co.jp/wp/books/isbn978-4-7872-7392-5

2016年度関東例会 Keith L. Camacho基調講演&『戦禍を記念するーグアム・サイパンの歴史と記憶』合評会

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戦争社会学研究会2016年度関東例会

ポスターはこちら⇒ 2016関東例会

第1部 基調講演(英語)
Keith L. Camacho (Department of Asian American Studies, UCLA)
The State of “War Memory”: Reflecting on Conflicts and Coalitions in the Pacific Islands

第2部 合評会(英語・日本語)
キース・L・カマチョ『戦禍を記念する-グアム・サイパンの歴史と記臆』(岩波書店、9月25日刊)
評者
長島怜央(法政大学)
石原 俊(明治学院大学)

日時
2016年10月22日(土)
開場13:30・開始14:00・終了17:40 (予定)
会場
東京大学本郷キャンパス
・法文1号館113号室

【講演要旨】
The State of “War Memory”: Reflecting on Conflicts and Coalitions in the Pacific Islands

What is the state of “war memory” in the Pacific Islands? In this talk, I discuss the significance of World War II and its aftermath in the Mariana Islands and the wider Pacific region. My goal is to examine how conflicts and coalitions produce both the means and the methods by which scholars have come to analyze the war, its complex and varied histories, and its enduring and equally contentious political and social memories. Along these lines, I reflect upon my role as a native scholar-activist caught in-between colonial wars and occupation, on the one hand, and indigenous and feminist movements for justice, on the other. From this vantage point, we can begin to understand and appreciate the state of war memory for Indigenous peoples in the Pacific Islands and for war memory studies more generally.

【講師紹介】
キース・L・カマチョ(UCLA アジア系アメリカ人研究科准教授)
2005年ハワイ大学マノア校にてPh.D.(歴史学)。『戦禍を記念する』の原著であるCultures of Commemoration: The Politics of War, Memory and History in the Mariana Islands (Honolulu: University of Hawai‘i Press, 2011)により、第28回大平正芳記念賞と北マリアナ諸島自治連邦区知事人文賞を受賞。
編著に、“Gender and Sexual Politics of Pacific Island Militarisation: A Call for Critical Militarisation Studies” with guest editors Victor Bascara and Elizabeth DeLoughrey, a special issue of Intersections: Gender and Sexuality in Asia and the Pacific 37, 2015.
“Transoceanic Flows: Pacific Islander Interventions across the American Empire,” guest editor, a special issue of Amerasia Journal 37:3, 2011.
Militarized Currents: Toward a Decolonized Future in Asia and the Pacific, with co-editor Setsu Shigematsu (Minneapolis: University of Minnesota Press), 2000.
論文に、“Filipinos, Pacific Islanders, and the American Empire,” in The Oxford Handbook of Asian American History, ed. David K. Yoo and Eiichiro Azuma (Oxford: Oxford University Press), 13-29, 2016; “Homomilitarism: The Same-Sex Erotics of the US Empire in Guam and Hawai‘i,” Radical History Review, Issue 123, 144-175, 2015など多数。
Critical Ethnic Studies, Amerasia Journal, Journal of American Studies: Eurasian Perspectives, American Quarterly等の編集委員を歴任。

【タイムテーブル】
2:00-2:05pm 開会(西村明)
第1部
2:05-2:50pm 基調講演 (キース・カマチョ)
2:50-3:05pm 質疑応答
3:05-3:20pm 休憩
第2部(司会・西村)
3:20-3:50pm 長島コメント
3:50-4:20pm 石原コメント
4:20-5:30pm 著者からの応答とフロアからの質疑応答
5:30-5:40pm 閉会(野上元)

6:30pm- 懇親会

2017年度からの年会費改定のお知らせ

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『戦争社会学研究』の刊行に伴い、2017年度より、下記のように年会費を改定いたします。

2017年度より
有職者(専任教員およびこれに準じる者)5,000円
その他の者(非常勤講師・大学院生・学部生およびこれに準じる者)2,500円
となります。

2016年度の年会費は従来通り、
有職者(専任教員およびこれに準じる者)2,000円
その他の者(非常勤講師・大学院生・学部生およびこれに準じる者)500円
です。

2017年度以降は前年度の年会費を支払われている方へ『戦争社会学研究』を送付いたします。
ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

『戦争社会学研究』刊行並びに投稿論文募集のお知らせ

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戦争社会学研究会の成果を社会的に発信し、戦争社会学の発展に資するべく、2017年度より『戦争社会学研究』を刊行することが決定しました。

これに際し、会員の皆さまから2017年4月刊行予定の『戦争社会学研究』創刊号への投稿論文(査読付き)を募集いたします。

投稿期間は、
2016年9月1日(木)~2016年10月1日(土)必着。
となります。

詳細は、戦争社会学研究会HP上の『戦争社会学研究』ページ https://scholars-net.com/ssw/sensoushakaigakukenkyu (menuバー →『戦争社会学研究』)並びに、以下のリンクを参照ください。

募集要項『戦争社会学研究』創刊号

投稿規程『戦争社会学研究』

執筆要領[『戦争社会学研究』
多数のご応募を心よりお待ちしております。

お問い合わせ先:
戦争社会学研究編集委員会 ssw.editors*gmail.com(*を@に代えてください。)

第7回戦争社会学研究会大会レポート

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 戦争社会学研究会の第7回研究大会が埼玉大学にて開催され、二日間を通して計60名近くの方が参加する盛会となりました。参加者も社会学、歴史学、宗教学など他分野にわたり、修士課程の大学院生や社会人の方の参加も多数見られました。

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◎4/23(土)大会一日目
〈個人報告〉
 山本昭宏氏の司会で2名の個人報告が行われました。一番手の須藤遼氏は、日露戦争軍役夫について報告されました。二番手の趙誠倫氏は、マーシャル諸島における日本人兵士と朝鮮人軍夫との関係について報告されました。いずれの報告も1時間という潤沢な報告時間のなかで有意義な議論が交わされました。

〈シンポジウム: ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開」〉
 福間良明氏の司会で戦争社会学の新展開に関するシンポジウムが開かれました。
第一報告者の好井裕明氏は、被爆や戦争に関する言説のマンネリ化に対して危機感を示した上で、戦争に関する映画を幅広く取り上げ、日常生活場面における緩やかな娯楽のなかで「戦争を反芻し反省すること」の持つ可能性について提起されました。
 第二報告者の井上義和氏は、自己啓発などの文脈と結びついた特攻受容という戦争の記憶の現代的状況について取り上げ、記憶の継承とは異なる「遺志の継承」という新たな理解の枠組みについて提示されました。そして、歴史認識の立場の隔たりが大きくなるなかで、異なる立場をつなぐような研究の必要性について提起されました。
 第三報告者の野上元氏は、戦争・軍事が重要な社会問題として認識されているアメリカの状況と、そうした状況に関する最新の研究動向について紹介されました。そして、日本においても戦争=第二次大戦という見方を相対化し、個々の研究を戦争・軍事をめぐる現在の問題へとつなげていく必要性について提起されました。
 以上の報告に対して、コメンテータの蘭信三氏からは戦争をめぐる世代の差異に関する問題提起が、西村明氏からは戦争理解のアップデートとして宗教体験論に関する問題提起が投げかけられました。それに対するリプライの後、フロアからも個別の報告や戦争研究の今後の展開にする活発な議論が展開されました。
 議論の熱も冷めやらぬまま、総会を挟んで開かれた懇親会には30名を超える参加者が集い大盛況となりました。新入会員の自己紹介なども行われ、若い院生も多数参加して賑やかな宴となりました。

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◎4/24(日)大会二日目
〈個人報告〉
 一ノ瀬俊也氏の司会で3名の個人報告が行われました。一番手の中山郁氏は、戦争末期に戦地における遺骨還送・慰霊体制が崩壊していく過程について報告されました。二番手の松岡勲氏は、靖国神社の遺児参拝について、京都市の事例に基づきながら報告されました。三番手の清水亮氏は、下宿・倶楽部という場において軍隊が受容されていく過程について報告されました。いずれの報告に対してもフロアから活発な議論が寄せられ、今後の展開に向けた示唆が示されました。

〈テーマセッション: 「空襲の記憶」の境界――時間・空間・学問を越境して〉
 柳原伸洋氏の司会で「空襲」に関するテーマセッションが開かれました。
 第一報告者の長志珠絵氏は、戦後日本社会における空襲のイメージと空襲市民運動について踏まえながら、「記憶」という視点から日本における防空研究と空襲研究を捉え直し、占領という時間や帝国という空間のなかで空襲の問題を考える重要性について報告されました。
 第二報告者の鎌田真弓氏は、戦勝国であるオーストラリアにおけるダーウィン空襲の記憶が、「国防の最前線」として位置づけられ、国民国家とむすびついていく歴史的な過程とその現況について、モニュメントや追悼式典の事例に基づきながら報告されました。
 以上の報告に対して、コメンテータの木戸衛一氏によるドイツの軍事化と空襲の記憶についての報告、西村明氏による福岡空襲と地域の記憶についての報告、木村豊氏による東京大空襲と広島原爆の比較についての報告と、それぞれの立場から報告者への問いかけがなされました。
 その後フロアを交えて、空襲研究が戦争をめぐる諸研究とどのようにつながっていくのかといった空襲研究の可能性をめぐって議論は白熱し、1時間余りの延長を経て閉会となりました。

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第7回戦争社会学研究会大会プログラム

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第7回戦争社会学研究会大会プログラム

【懇親会の開始時間を変更しました】

≫ポスターのPDFファイルはこちら。戦争社会学研究会大会(2016)ポスター ver.4
4月23日(土)
■個人報告
司会:山本昭宏(神戸市外国語大学)

・個人報告1(13:00~14:00)
須藤遼(慶應義塾大学大学院)
「日露戦争期軍役夫の検討」

・個人報告2(14:10~15:10)
趙誠倫(済州大学校)
「太平洋戦争末期マーシャル諸島の日本兵と朝鮮人軍夫」

■シンポジウム(15:20~17:50)
「ポスト「戦後70年」と戦争社会学の新展開」
司会:福間良明(立命館大学)
報告:好井裕明(日本大学)
井上義和(帝京大学)
野上元(筑波大学)
討論者:蘭信三(上智大学)
西村明(東京大学)

・趣意:
「戦後70年」の昨年には、戦争をめぐるさまざまな議論が繰り広げられた。社会学や近接領域も例外ではない。日本社会学会でシンポジウム「戦争をめぐる社会学の可能性」が行われたほか、日本マス・コミュニケーション学会、同時代史学会等で「戦後70年」を主題としたシンポジウムやワークショップが開かれた。広義の戦争社会学に含まれる研究書の刊行も少なからず見られた。
こうしたなかで垣間見られたのは、従来の知見をふまえつつも、それらを相対化しようとする試みであったように思われる。日本社会学会シンポジウムでは、「新しい戦争」も視野に入れつつ戦争という現象を理論社会学として捉え返す視角や、アメリカのミリタリー・ソシオロジーの動向と日本の潮流との対比に言及がなされたほか、いくつかの学会・研究書では、戦争の記憶の「脱文脈化」を正面から取り上げる動きも見られた。本シンポジウムでは、これらの議論も念頭に置きつつ、「ポスト戦後70年」における戦争社会学のあり方について検討を行ないたい。それはすなわち、本研究会の議論のありようを、どのように展開させていくのかを考えようとするものでもある。
報告者としては、好井裕明氏、井上義和氏、野上元氏に登壇いただく。好井氏はこれまでに被爆をめぐる表象や記憶に関する研究を積み重ねてこられたほか、日本社会学会における上記シンポジウムにおいても、企画や司会を務められた。こうした蓄積をふまえたうえで、今後の戦争社会学の方向性についてご議論いただく。
井上義和氏は、戦争の記憶が、戦後的な戦争観や地域の体験から脱文脈化される形で再編・受容される近年の動向について、教育社会学の視点から研究を進めている。こうした、「記憶の継承」という従来の枠組みでは捉えきれない現象へのアプローチについて、問題提起していただく。
野上元氏は、これまで多くの戦争社会学の研究蓄積を有する一方、これらをより普遍的な視座から検討できるよう、近年では「戦争史記述の社会学的規準」と題する作業を続けている。2015年度の在外研究の成果もふまえつつ、今後戦争社会学にどのようなテーマがありえるのかについて語っていただく。
以上の議論に対して、蘭信三氏にはおもに社会編成や人口移動の観点から、西村明氏には慰霊・記憶研究の観点からコメントをしていただく。そのうえで、今後の戦争社会学の展開として、いかなる方向性があり得るのかについて、考察を深めていきたい。

■総会(17:50~18:20ごろ)

■懇親会(18:30~20:30) 教職員食堂「バル・メリンの森」
*18時30分を目安にしていますが、総会次第では開始時間が遅れる可能性があります。何卒ご了承ください。

4月24日(日)
■個人報告
司会:一ノ瀬俊也(埼玉大学)
・個人報告3(10:00~11:00)
中山郁(國學院大學)
「戦地における遺骨還送・慰霊体制の崩壊と戦友・遺族:東部ニューギニア・ブーゲンビル島の事例から」

・個人報告4(11:10~12:10)
松岡勲(立命館大学非常勤講師)
「京都市の靖国神社遺児参拝:1950年代の靖国神社遺児参拝の実像」

===昼食休憩===

・個人報告5(13:10~14:10)
清水亮(東京大学大学院)
「地域社会において軍隊はいかに受容されてきたか:海軍航空隊の下宿・倶楽部を中心に」

■テーマセッション(14:20~16:50)
「「空襲の記憶」の境界 ―時間・空間・学問を越境して―」
司会:柳原伸洋(東海大)
問題提起:長志珠絵(神戸大学) 「空襲」イメージがはらむ記憶の国境線――帝国の防空とその記録・記憶
鎌田真弓(名古屋商科大学) ダーウィン空襲の記憶:「オーストラリア国防の最前線」を語り継ぐ
討論者:木戸衛一(大阪大学) :ドレスデン・政治学の観点から
西村明(東京大学) :福岡・長崎・宗教学の観点から
木村豊(日本学術振興会特別研究員PD) :東京・広島・社会学の観点から

・趣旨:
戦後70年を迎えた2015年は、各種メディアや研究のほぼ全てにおいて「体験者の減少」や「継承の問題」についての言及があったといえる。戦争社会学研究会でも、2015年度大会で博物館展示を通じた「継承」が議論された。また、本大会一日目のシンポジウムでは、「ポスト戦後70年」が取り扱われる予定である。
大会二日目の本テーマセッションでは、テーマを「空襲」にしぼり、「継承」そして「ポスト戦後70年」について考えてみたい。本企画は、「日独比較を通じた『空襲の記憶継承学』の構築」(挑戦的萌芽研究 代表:木戸衛一)との共催となる。この科研費調査では、空襲の記憶が、日本・東ドイツ・西ドイツにおいて「いかに継承されてきたのか」を比較考察している。本セッションでは、地域・学問領野をさらに広げることで、「空襲記憶」や「継承」の多様性から各知見を比較考量することで、「記憶」「継承」などの概念も再検討しつつ、今後の空襲研究の展望を示す。また、質疑応答では、戦争社会学研究への定置も試みていきたい。
*会場
埼玉大学教養学部棟3階 31番教室

交通アクセス:http://www.saitama-u.ac.jp/access/accessmap.html
校内案内図 :http://www.saitama-u.ac.jp/access/campus.html

*大会参加費など
会員(専任・院生とも):2000円(+年会費)
非会員(専任・院生とも):3000円
年会費 有職者:2000円、その他のかた:500円
以上、頂戴します。整理しますと、
会員有職者・4000円
会員(院生など)・2500円
非会員・3000円
となります。

*聴覚障害等のある方で、情報保障の必要な方は、2月末日までに、下記の連絡先までお問い合わせください。(予算・人員の関係上、手話通訳等ではなくノートテイク等での対応とさせていただく可能性があります。また、できるだけ報告レジュメの電子ファイルでの事前提供に努めますが、報告者によっては事前提供や電子ファイルでの提供が難しい場合もあります。あらかじめご了承ください。)

*発表に際し、パワーポイントをご使用の場合は、ご自身のノートPCをご持参ください。

*場合によって多少の変更の可能性があります。

*問い合わせ先 戦争社会学研究会事務局宛( ssw.adm@gmail.com )