『カタロニア賛歌』

7月 24, 2006 under 読書

先日、ある人から頂いた。

面白い。
ドキュメンタリー文学の名作なので、何をいまさらなのであるが、偏った教養しかないオレはタイトルこそ知ってはいたが、未読だった。
オーウェル自身が報道記事を書くために訪れたスペイン内戦。
しかし彼は取材という目的を捨て、自ら義勇軍に参加した。
その記録だ。
ファシズムに対抗する市民戦争。
しかしオーウェルがくみした共和国政府は敗北することになる。
まだまだこんなに面白い未読の作品があるかと思うと当分死ねない。
つい先月、スペインで行われたカタルーニャ自治州の自治権を強化する憲法改正への賛成投票が73.9%を占めたことが報道されていた。
そうした現代の動きの源流を知る上でも格好の作品だろうと思う。

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『オイディプス症候群』

7月 24, 2006 under 読書

笠井潔の『オイディプス症候群』を読み終えた。

発売当時に買っておいたが、時間がなく読むことができなかったのだ。
奥付をみると2002年。
4年間も積んでおいたことになる。
1600枚の大作。
ある程度時間の都合がつく見通しがなくては読み始めることはできない厚さだ。
しかもハードカバーなので持ち運びにも支障をきたす。
ネタバレするので詳しくは書かないが、前作『哲学者の密室』がハイデガーをモデルにしていたように、今回はフーコーだ。
日頃、講義などで扱っているだけにオイディプス神話もフーコーも親しんでいるのでそれ自体からはあまり学ぶことはなかった。
だが、ここまで推理小説の中で料理してしまう筆者の力量はたいしたものだと思う。
しかし、フーコーなどの知識もなく、これを純然なる推理小説として読み始めた若い読者はどうなるのだろう。
たとえば小学校高学年や中学生、あるいは高校生。
いや。
それも不要な心配かもしれない。
そういうオレだって、ウィトゲンシュタインに初めて触れたのは、中学生の頃。
山田正紀の『神狩り』だった。
大学に入ってから言語哲学をじっくり読むことになろうとは、当時のオレは予想していなかった。
おそらく笠井氏の作品のほとんどを読んでいるが、この『オイディプス~』は改めて思い返してみると、よくできている。
何がよくできているかといえば、一見、衒学的で冗長とも思える哲学談義が、作品全体の構成からみて実に無駄がない点だ。
1600枚で無駄がない、というのは特筆すべきことであろう。
これだけの分量の作品を一気に読むと多少はリアリティに影響をこうむる。
心の半分は、まだミノタウロス島をさまよっているカンジだ。

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原則論

7月 23, 2006 under 時事・社会

7月23日19時56分更新『毎日新聞』(犬飼直幸署名記事)によると、安倍晋三官房長官が23日の横浜市での講演で、靖国神社のA級戦犯分祀論議について「政教分離の原則からも神社側や遺族会が判断することだ」と述べたという。
この主張自体はまったく正しい。
分祀(正確には特定の祭神の「廃祀」か?)について、国が一宗教法人に対してあれこれと指図するのは明確な政教分離の原則違反だろうと思う。
政治的には相容れない立場であろうと思うが、安倍氏の主張のこの部分には賛成である。
だが、同時に、内閣総理大臣や国会議員は公式参拝をすべきではない、というのも、同じ論理から帰結する。
福田氏が不出馬を言明したことから次期総裁の有力候補と目されている安倍氏だけに、ご都合主義で政教分離の論理を振りかざしているのではないことを期待する。
一方、『毎日新聞』7月23日19時1分更新(無署名)によれば、谷垣禎一財務相は23日のNHK番組で、靖国神社のA級戦犯合祀について中韓両国の反発を念頭に分祀を検討すべきだとの考えを示唆した、という。
政府の都合によって、ある宗教団体が何を神とするかについて口を出すかのような発言である。
こうした発言に対して、宗教者はもっと問題とすべきだろうと思う。
では、仮に分祀すれば日本国の首相が堂々と一宗教団体である靖国神社へ参拝してもよいのだろうか?
そういう論理にはならない。
いわゆるA級戦犯が合祀されていようとなかろうと、公人として特定の宗教団体の施設へ参拝してはならないのだ。
こうした意見はあまりに原則論的だといわれるかもしれない。
実際の日中韓の外交関係に支障をきたしているのは事実であると。
しかし原則論であるからこそ、立法府の責にある国会議員は遵守すべきことなのではないだろうか。

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推理小説の反骨精神

7月 22, 2006 under 読書

戦傷病といえば、乱歩の「芋虫」などの反戦的な作品もある。
この作品も戦争がどういうものなのかを雄弁に語っているもののひとつだ。

『犬神家の一族』の横溝正史にしても、やはり戦争の傷跡を設定に組み込んでいる。

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しょうけい館

7月 22, 2006 under 調査・研究

本年3月より正式に開館した「しょうけい館」へ行って来た。
事務局をやっている研究会で都内にある戦争関係の博物館や資料館などを訪問調査したのだ。
しょうけい館は「戦傷病者史料館」という名称も併記されているとおり、戦争で傷を受けた方たちの資料などが展示されている。
企画展示で水木しげるの資料やインタビュー記録なども展示されている。
しかし、常設展示として展示されている義手や義足、義眼などは、それだけで戦争がどういうものかを能弁に語っている。
この資料館、入り口がちょっと分かりにくいが、平和教育に非常に有効であると思う。
ぜひ一度訪問されることをオススメする。

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『近代天皇制と古都』

7月 22, 2006 under 読書

著者の高木博志氏から頂いた。

氏は近代天皇制に関する精力的な研究者である。
オレは「1880年代の「旧慣」保存」あたりの論文を、修士課程の学生の頃に読み、それ以来のファンである。

氏はホブズボウムなどの「伝統の創造」論とは別交渉の形で、伝統の創造にたどり着いていた。
本書に収められた論考のほとんどは論文の形ですでに既読のものがほとんどであるが、一書の形となった意義は大きい。
また巻末に収められた補論「桜とナショナリズム」も秀逸である。
近代史研究者、また国家と宗教ナショナリズムに関心を持つ研究者、学生にとって必読の書ひとつであろう。

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スパム対策終了

7月 22, 2006 under サイト管理

少し時間ができたのでスパム対策用にスクリプトをいぢった。
これで実際の訪問者以外からの機械的なスパムは排除できるハズであるが、スパム業者は次の手を考えるであろうからイタチゴッコであろう。
が、とりあえずしばらくこれで運営してみようと思う。
これからもよろしく。

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