男色談義

4月 26, 2001 under ダイエット

昨日のことになるが某教授の研究室ですごい本を見つけた。
『南方熊楠 男色談義:岩田順一往復書簡』(八坂書房)である。
南方熊楠はあの南方熊楠である。
日本の民俗学や博物学の草分け的存在である。
TVの「知ってるつもり」で取り上げられたりもしたのでご存知の方は多いであろう。
10年程前に少年ジャンプで「てんぎゃん」というタイトルでその自伝が漫画化されたこともある。
熊楠(「くまぐす」あるいは「くまくす」)は、その膨大で博覧強記といえる知識と圧倒的な記憶力、それに行動力で知られる近代日本の知的巨人である。
明治期の日本に嫌気がさし、アメリカへ渡り、アメリカの学問が程度が低い学校をやめてしまい曲馬団に入って中南米へ渡り、さらにはロンドンへ渡り、大英博物館に認められ、現在でもある有名な科学雑誌「ネイチャー」へ論文がいくつも掲載されている。
熊楠は、英国へ留学した夏目漱石がカルチャー・ショックで神経性の胃病を病み、失意のうちに帰国した同時代に、白人と同等に渡り合い認められた近代日本唯一の知識人である。
専門は今でいう生物学で粘菌などの研究者であるが、古今東西の文学・故事・文化・風俗に対する造詣も深く、柳田国男なども教えを乞うたほどの膨大な知識を有していた。
その彼の往復書簡集。
しかも膨大な書簡の中心的なテーマは「男色」である。
その一連の書簡の相手が、岩田順一である。
岩田順一は戦争末期に病没しているが、半生を日本における「男色」に関する古典文献を渉猟・収集にささげ、「本朝男色考」などの著作をまとめ若き男色研究者である。
岩田は江戸川乱歩の筆名で有名な平井太郎の親友でもある。
乱歩はその長き執筆生活のなかで、自分の作品に愛想を尽かし、何度か断筆してしまい、長い旅に出ていた時期があるが、おそらくそうした空白の時期に、岩田と二人で男色に関する文献を求めて日本各地を旅してまわっていたらしい。
後年、そうした長年の成果を踏まえて発表されたものが「本朝男色考」である。
「本朝男色考」とは、いわば男色という視角から見た古代から現代までの日本文化史なのである。
前代未聞の研究書であろう。
その岩田と熊楠との往復書簡なのである。
そして巻頭を飾る「はしがき」は稲垣足穂であり、巻末を飾っているのは江戸川乱歩である。
このような本が面白くないはずがない!!
昨夜から読み始めたのであるが、両者の博覧強記さ、膨大な知識に圧倒され、目からうろこが落ちまくっている。
なかでも熊楠自身の少年に対する愛情の体験、男色における「浄」と「不浄」、武士や僧侶の世界におけ男色などなど。
すべて文献に基づいて考証されているのである。
ハードカバーで400ページを超える大作。
今、3分の1を読み終えたところである。
はなぢが出そうなくらい面白い本である。
いや、オレはノンケだけどな。

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