『戦後日本と戦争死者慰霊―シズメとフルイのダイナミズム』

12月 24, 2006 under 調査・研究

著者ご本人から送って頂いた。

西村明氏(国立鹿児島大学法文学部助教授)数々の共同研究でご一緒している研究仲間の一人である。
本書は氏の博士論文に大幅に加筆訂正を行ったものだ。
本書の特長は、戦死者祭祀を近代以前から戦後社会までの歴史的変遷の中に位置づけた点(氏のいう縦の分析)と、この研究対象を歴史学や民俗学、宗教社会学という視点からではなく、あくまでも宗教学の中に位置づけた点であろう。
また、長崎の原爆死者の慰霊史としても確かな事例分析の業績であるということができるだろう。
もちろん個人的には細部に異議のある点もあるが、その研究枠組みの確かさ、先行研究への周到な目配りと批判、事例研究における厚い記述などなど、宗教学の立場からする研究では、学史的にも必ず言及されなければならない業績が、これでひとつ増えたことになる。
また、こうした著者に目をつけた編集者の慧眼にも賛辞を送りたい。
機会があれば詳細な書評を行いたい力作だ。
宗教学や宗教社会学なみならず、公的慰霊やナショナリズム、死者儀礼や集合的記憶などの研究分野に関心のある方には是非読んでもらいたい一冊である。

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