戦没者遺骨:収容を加速…超党派、初の根拠法案提出へ

8月 14, 2015 under 時事・社会, 調査・研究

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戦没者遺骨:収容を加速…超党派、初の根拠法案提出へ

毎日新聞
http://www.msn.com/ja-jp/news/other/%e6%88%a6%e6%b2%a1%e8%80%85%e9%81%ba%e9%aa%a8%e5%8f%8e%e5%ae%b9%e3%82%92%e5%8a%a0%e9%80%9f%e2%80%a6%e8%b6%85%e5%85%9a%e6%b4%be%e3%80%81%e5%88%9d%e3%81%ae%e6%a0%b9%e6%8b%a0%e6%b3%95%e6%a1%88%e6%8f%90%e5%87%ba%e3%81%b8/ar-BBlI4Gw?ocid=iehp#page=2
 第二次世界大戦の戦没者遺骨の収容を加速するため、超党派の国会議員らが今国会で成立を目指している法案を毎日新聞が入手した。「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」案で、遺骨の収容を初めて法的に「国の責務」と位置づける、戦後処理の画期となる内容だ。だが、成立してもなお、多くの課題が残る。【栗原俊雄】

 ◇「国の責務」「10年間集中」明記

 法案は日本遺族会会長の水落敏栄・参院議員(自民党)らが作成してきた。今国会での成立と10月1日からの施行を目指している。

 対象は1937年に始まった日中戦争から45年の敗戦までの戦没者と、旧ソ連に抑留され亡くなった人たちの遺骨。「国は、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策を総合的に策定し、確実に実施する責務を有する」と明記した。

 戦没者遺骨の収容は、日本がサンフランシスコ講和条約に調印し、独立した52年から行われているが、根拠法がなく、広大な地域から海外戦没者240万人すべての遺骨を収容するのは事実上不可能であるため、政府内では何度も「幕引き」が検討されてきた。法案は今年度から10年間で「施策を集中的に実施」するとしており、政府は少なくともこの間、帰還事業をやめることはできない。

 主管は厚生労働省で、他国との折衝や遺骨の収容、移送などで外務省や防衛省といった関係省庁との連携が不可欠だが、これまではこれらを結びつける法的根拠がなく「縦割り」の弊害が指摘されてきた。このため法案は、厚労相が関係行政機関と「連携協力を図る」としており、従来より多くの行政機関が連携し、予算確保もしやすくなる。

 収容された遺骨の身元がすぐに判明することはほとんどなく、引き取り手のない「無縁仏」が増加している実態を踏まえ、遺族らへの引き渡しを明記している。

 水落議員は「本来ならば20年くらい前、ご遺族の多くが健在だったころにできているべき法律。法案の内容は政党や歴史観が違っても賛同を得られるはずで、戦後70年の節目に成立させたい」と話す。現在約113万柱に上る海外戦没者の遺骨が取り残されており、同法案は、戦争の生還者や遺族などが一人でも多く生存している間に、遺骨の帰還を進展させる後押しとなることが期待されている。

 ◇DNA鑑定、行政二の足

 ただ、成立しても遺骨帰還が難しい状況は同じだ。硫黄島(東京都小笠原村)やフィリピンなど南方の激戦地で倒れた人たちの遺骨は、収容自体が容易でなく、身元の判明は極めてまれ。

 沖縄では約18万人の遺骨が身元不明のまま、糸満市にある国立沖縄戦没者墓苑に収容されている。原爆が投下された広島では約7万人、長崎でも2万〜3万人分の遺骨が収容施設に安置されている。国立の千鳥ケ淵戦没者墓苑(東京都千代田区)にも約36万柱が納められている。同法案の成立で遺骨収容が進めば進むほど、事実上の「無縁仏」が増えていく可能性が高い。

 また、軍艦や民間の輸送船などが撃沈され亡くなった「海没者」の30万柱に及ぶ遺骨は、沈没位置の特定や海中での作業が難しいため、従来事実上収容の対象外で、同法案が成立しても状況は変わらない。

戦没者の遺骨をめぐる経緯© 毎日新聞 戦没者の遺骨をめぐる経緯
 また「相手国の事情により収容が困難」(厚労省)な例もある。例えば旧満州(現中国東北部)。約24万人が戦没したと推計されているが、帰還した遺骨は約4万柱。日本が「満州国」を開国し、中国侵略の拠点となった地域という歴史的背景から、同省などは中国政府の協力を得るのが難しいとみている。実際、本格的な調査さえできていないのが現状で、北朝鮮も同様だ。

 さらに遺族らにとって「希望の光」であるDNA鑑定でも問題が残る。厚労省は2003年に鑑定を開始して以来、シベリア抑留の犠牲者を中心に約1000人の身元が判明するなど一定の成果を上げている。

 だが同省は、鑑定を行うのは遺留品や埋葬地資料などから遺骨の身元が推定できる場合とし、さらに担当者は「DNAは究極の個人情報であり、行政が大量に把握することに倫理上の問題がある」と話す。こうした「官の論理」を乗り越えるのに同法案がどう生かされるかも課題となる。

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