洞窟

クリニック到着後、着替えをする。
下着は外し、不織布でできたパンツに履き替える。
エステなどで履かされるやつだ。
ただ、これはお尻側に穴が空いている。
ここから内視鏡を入れるのだろう。

その後、軽い睡眠薬なのか、看護師いわく「ぼぅ・・・」とする薬なるものの点滴を受けながら、検査に臨む。

クリニックの医師が内視鏡を操作する。
すでにモニタには電源が入っている。
左を下に横になり、膝を曲げる体勢をとるように言われる。
麻酔効果のあるゼリー状のものが肛門に塗られ、ほとんど意識しないうちに内視鏡がスルっと挿入された。

大腸内視鏡は正確には大腸ファイバースコープというらしい。
炭酸ガスがスコープから注入され、腸管は膨らまされている。

肛門部から入った内視鏡の先端についてているカメラがオレの腸管の内部を映し出す。
そのモニタ映像を俺も観ながら検査が進んでいく。

映画「インナースペース」で観たような、身体内部の世界が映し出されていった。
腸管は基本的にはきれいな淡いピンク色だ。
あえて表現するならそこはヒダのあるピンク色の洞窟のような場所だった。
そこをスコープは次々に進んでゆく。
担当医は慣れた手つきでどんどん進んでいったが、一瞬だけ手が止まる。
何かを発見したのだ。
それは素人の目にもはっきりとわかる隆起。
ポリープだ。

ポリープはもともと「キノコ状の隆起」という意味だそうだ。
言葉どおりに洞窟の斜面、襞に影にキノコのようなものがあるのが映し出されている。

医師は再びスコープを動かし始める。
大まかな場所を覚えておき、細かい診察は後にして、今は先に進むとのことだ。
なにしろ大腸は1.7メートルあるという。
しばらく、滞ることなくスコープは進んでいく。
S状結腸をくぐり抜け、横行結腸を通り過ぎ、盲腸を越えてゆく。

やがて終点に達した。
小腸の入り口である。
その先にはスコープは入り込めない。

これは後で調べたことだが、上部消化管(食道、胃、十二指腸まで)は胃部内視鏡、いわゆる胃カメラによって検査することができる。
また、肛門から直腸、結腸は大腸内視鏡によって検査することができる。
しかし、小腸へはいずれも入り込めない。
細く、きわめて複雑な形状をしているからだ。
ここへ入り込めるのは現時点ではカプセル型の小型カメラだけなのだそうだ。
これはカプセル型の小型カメラを飲み込み、それは消化管の中で自動的に撮影を続け、やがて肛門から排出される。
それを回収して、画像データを取り出す、というものだ。
だから、まだまだ小腸の中は未知の世界なのである。

ともあれ、小腸の入り口が行き止まりになるので、今度はゆっくりと後退してゆく。
その過程でポリープの有無を確認してゆくのだ。
(続く)


You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
You can leave a response, or create a trackback from your own site.

There are no comments yet, be the first to say something


Leave a Reply

You must be logged in to post a comment.

Subscribe to RSS feed